デジタル投資ストリームへの接続

Hideaki Suzuki

Director

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以下は要約です

2017年日本におけるデータセンター・セクターへの投資レポート「デジタル投資ストリームへの接続」をまとめました。

不動産投資においてもデジタルへの投資が加速


“デジタル”への投資は、不動産投資家にとっての新たな投資機会として台頭してくるでしょう。データセンターにおける所有と経営の分離、そしてデータセンター売却の動きは2000年代に始まりました。現在、データセンター施設への需要は当初予想された以上の拡がりであり、データセンター運営者・所有者は不動産関連リスクを緩和するため、新しいデータセンター開発において不動産投資家との連携の動きを強めてきています。自用のデータセンターを保有する企業は、設備の老朽化を懸念し、クラウド・サービスを含むコスト効率の高い設備更新の手段を狙っており、さらに、災害対策やビジネス継続計画(BCP)の改善需要は、データの外部バックアップを促進することが期待されます。さらに2010年代に入って、クラウド・サービスと大量の計算機能力を必要とするビッグデータ分析により、データセンターに求められる要件は劇的に変化しています。これによって新規データセンターへの需要は、7メートル以上の天井高、1平方メートル当たり2トン以上の床荷重、特別な高電圧、そして高い電力使用効率等が必要となってきている傾向にあります。クッシュマン・アンド・ウェイクフィールドのリサーチ・ディレクター、鈴木英晃は「この変革を見せる新たな需要は構造的変化ともいえるべきもので、既存の老朽化したデータセンターでは対応できる余地が少ないでしょう」と述べています。

最新データセンターへの投資機会は、ネクスト・コア投資と成り得るが、案件ソーシングも難しくなる


このような投資機会は、特定のオペレーターに対して開発する、ビルト・トゥ・スーツ(BTS)型開発案件となる傾向があります。BTS型データセンターのテナントとの契約期間も、従来見られるような「更新を前提とした10年間」でのリース契約が一般的な傾向です。これは、既存の企業データセンターをセール&リースバックで購入し売主に貸し出す場合のリース期間と似ています。しかし、最新型データセンターは、なかには100億円以上の多額な設備費用をテナントが費やす事例もあることから、受け皿として機能する建物の価値よりも高い場合が多い傾向があり、テナントの解約インセンティブも低いです。つまりBTS型データセンターのテナント解約リスクは抑制されているといえます。
変革するデータセンターへの需要により、同セクターへの投資はこれからも成長することが期待できる一方、投資家にとっては投資案件のソーシングが困難となることも予想されます。これは同セクターの高い機密性により、将来ソーシングされてくる案件の多くはオフ・マーケット取引(個別交渉による特定の相手との取引)となることが予想されるためです。BTS型データセンターが売買案件化することは少ないのが現状ですが、水面下では案件化が進んでいます。過去5年間においてキャップレートは圧縮されてきていますが、それでも5%以上の魅力的な水準を現状保っています。

鈴木は「データセンターにおけるビルト・トゥ・スーツ型投資はビルド・トゥ・コア(コアを作りだす)と言っても良く、ネクスト・コア投資として魅力的です。案件ソーシングの難しさがありますが、ファーストムーバーへのアドバンテージも多いのが特徴です」と述べています。